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WEST TOKYO TV-FM DX

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アメリカ仕様チューナー SONY XDR-F1HD 使用記

2008.10.13 UP

画像削除 2016.04.11 UP


入手

 SNS「掲示板:TV・FM DXの広場」(要BIGLOBE登録)において、SONYのXDR-F1HDというFM/AMチューナが最近アメリカやオーストラリアのFM DXer間で話題になっているようです、との投稿を福永光洋さんが2008年7月31日に書き込まれていました。

 このSONYのXDR-F1HDはアメリカで発売されているFM/AMデジタルチューナーで、HD Radioとアナログ放送が受信出来ます。HD Radioはアメリカの中波・FMのデジタルラジオ放送方式で、詳しくはWikipediaの記事をご覧下さい。

XDR-F1HD | HD Radio Head Unit XDR-F1HD | Sony | SonyStyle USA
http://www.sonystyle.com/webapp/wcs/stores/servlet/ProductDisplay?catalogId=10551&storeId=10151&langId=-1&productId=8198552921665401984

HD Radio - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/HD_Radio

 HD Radioは日本では使い道がありませんが、FMアナログチューナー部分の選択度が良いと、アメリカやオーストラリアのFM DXerの間で話題になっているとのことで、アメリカのamazon.comで購入でき、価格も高くはないので、すぐにポチっと購入してしまいました。

Amazon.com: Sony XDRF1HD HD Radio Tuner: Electronics
http://www.amazon.com/Sony-XDRF1HD-HD-Radio/dp/B00168Q248

 amazon自体は日本まで発送してくれませんが、amazon.comに出店しているZALMARというお店が日本まで発送してくれるので、ここで購入。新品で、価格が$99.87(11166円)、送料$64.00(7156円)、合計$163.87(18322円)。

 2008年8月1日の未明0330頃に注文、当初の到着予定は8月15日~8月26日でしたが、8月1日の2230頃には発送したとのメールが届き、8月8日に早々と到着しました。関税などは一切取られませんでした。

写真

 写真を紹介します。画像をクリックすると、大きなサイズの画像が別ウィンドゥで開きます。


本体正面

本体背面

本体上面

電源プラグ。タイプは日本と同じAタイプ。

リモコン

シャックに収まったところ
主な仕様

FM受信周波数…87.5~108MHz
FMアンテナ入力…75Ω
プリセット…20ch
電源…120V AC、60Hz
製造…Made in China
RBDS(Radio Broadcast Data System)対応
リモコン付き

 第一印象は小さい!軽い! AR5000A+3より小さいのです。チューナーなので、聞くには別途アンプが必要になります。

 電源電圧は120Vのため、100V→120Vへの変圧器(アップトランス)が必要になります。私はカシムラの変圧器(アップ・ダウントランス) TI-28を購入しました。4680円。アップ・ダウン共用である必要は全くありませんが、アップトランスは品切れの所が多く、TI-28は形状が置き場所に困らないので(他の受信機などのアダプターに積み重ね出来る)、これにしました。

 また、電源周波数が60Hzなので、東日本の50Hz地域では電源周波数を変えるために若干高価なインバーターが必要になりますが、ラジオのような機器では電源周波数が違っていても問題なく使用できるとのことです。とりあえず、私のところでは問題なく動作はしています。
 参考サイト:暮らしと家電製品 8.電気の周波数と家電製品(転居のときに)

 電源プラグは日本と同じAタイプなので、そのまま使用出来ます。

 FMのアンテナ入力はF型コネクター。

 RBDS(Radio Broadcast Data System)はアメリカで使用されているFM文字多重放送の方式です。海外のFM文字多重放送には、ヨーロッパ・南米で使用されているRDS(Radio Data System)とアメリカで使用されているRBDS(Radio Broadcast Data System)があり、両者は番組の数字の割り当てが違うだけで、どうやら方式は同じようです。

Radio Data System - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Radio_Data_System

 なお、中波の受信周波数は530~1710kHz、ステップは10kHzステップで、日本ではあまり使い道がないかもしれません。

選局方式など

 選局方式はマニュアルチューニング(+-ボタンで選局)、プリセットチューニング(プリセットしてある周波数をダイレクトに選局)、スキャンチューニング(良好に受信出来る局をサーチして選局)がありますが、FM-DXに普段使うのはマニュアルチューニングでしょう。

 FMの周波数ステップは0.1MHzステップです。

 プリセット先からそのままマニュアルチューニングの0.1MHzステップへの移行が可能なので、私は88.0MHz, 89.0MHz, 90.0MHz…と1.0MHzおきにプリセットしておき、プリセット先からすばやく0.1MHzステップに移行出来るようにしてあります。

 本体とリモコンで出来ることが同じなので、リモコンを使うと若干便利なこともあるかもしれません。

感度・選択度

 同機、IC-R7000、AR5000A+3、ヨーロッパ仕様チューナーのSONY ST-SA5ES、国内用チューナーのSONY ST-SA50ESの各機種で比較調査してみました。

★感度

 サンプル:NHK静岡FM放送 88.8MHz、α-Staion 89.4MHz、NHK前橋FM放送 89.0MHz(三波川)、8月10日昼の88~90MHzの間のEスポ受信

 IC-R7000=AR5000A+3≧XDR-F1HD≧ST-SA50ES≧ST-SA5ES

 IC-R7000、AR5000A+3より若干劣りますが、ほぼ同等の感度があります。

★選択度

 サンプル:地元J1ch音声の切れ具合、8月10日昼の88~90MHzの間のEスポ受信
 地元J1ch音声の切れ具合とは、アンテナを中国のある西方向(東京タワーと逆方向)に向け、NHK東京総合テレビのJ1ch音声の前後の周波数(95.6, 95.9MHzなど)でJ1ch音声が切れるかどうか調べたものです。

 XDR-F1HD>ST-SA50ES≧ST-SA5ES≧AR5000A+3>IC-R7000

 選択度はXDR-F1HDがバツグンに良いです。

XDR-F1HDで受信したJ1ch音声の前後の状況
95.5MHz 何も聞こえない
95.6MHz J1ch音声がかすかに入る
95.7MHz J1ch音声がバッチリ入る
95.8MHz 同上
95.9MHz J1ch音声がかすかに入る
96.0MHz 何も聞こえない

★ステレオ分離度

 ステレオ分離度とは信号微弱局がステレオになる比率です。
 サンプル:NHK静岡FM放送 88.8MHz

 XDR-F1HD=ST-SA50ES>ST-SA5ES

★ステレオの音質

 サンプル:NHK静岡FM放送 88.8MHz

 ST-SA5ES≧ST-SA50ES>XDR-F1HD

 ステレオになった時の音質はST-SA5ES、ST-SA50ESの方が断然に良いですが(当たり前?)、XDR-F1HDのステレオ音は「悪くはない」です。しかし、元々ST-SA5ESは微弱局のステレオ受信時にはステレオノイズがうるさいので、ステレオノイズが少ないXDR-F1HDの方が聞きやすくなっています。

 なお、IC-R7000+TV-R7000Jの「TV-R7000Jからの出力」は全てにおいて完敗ですが、ステレオ音質だけはXDR-F1HDと同等くらいに聞こえます。

使用感

 XDR-F1HDには最大の欠点があります。それは、放送のないところ、電波の弱い局が入感しているところで、断続的にバサバサという謎のノイズ音が聞こえるのです。信号の強い局が入感しているところでは聞こえません。イメージ波のようにも聞こえますが、よくわかりません。

 折角、バツグンの選択度、IC-R7000、AR5000A+3に匹敵する感度があるので、この謎のノイズ音が出てしまうのは残念です。この謎のノイズ音のせいで電波の弱い局の受信音声が聞きづらくなっており、結果的にはIC-R7000、AR5000A+3の方が聞きやすくなっています。

 モノラル受信モードはありません。常時ステレオ受信状態です。XDR-F1HDでステレオ放送を受信してもステレオランプの点灯が無く、モノラル送信の局と、ステレオ送信で内容がモノラルの局との区別がつきづらいです。

 FM文字多重放送はまだ復調出来ていませんが、先述のようにRBDSとRDSは同じ方式らしく、以前、ヨーロッパ仕様チューナー SONY ST-SA5ES(ヨーロッパのRDS対応です)で、ロシアのFMのRDS放送が復調出来ましたので、XDR-F1HDでロシアのFMのRDS放送が復調出来る可能性はありそうです。

 スイッチを入れてから起動するまで(音が聞こえるまで)約5秒間待たされます・・・。

総評

 選択度が非常に良く、感度もIC-R7000、AR5000A+3に近く、ステレオ受信が可能、価格も高くはないので、非常に良い受信機なのですが、やはり、放送のないところや電波の弱い局が入感しているところで、断続的にバサバサという謎のノイズ音が聞こえてしまい、電波の弱い局が聞きづらくなっているのが非常に残念です。

 メイン受信機は従来通り、IC-R7000、AR5000A+3になり、XDR-F1HDは電波の強い局を受信中に隣接局の混信が気になる場合に、隣接局の混信を切るのに使える受信機となりそうです。

 現在は最近あまり使用していなかったIC-R8500に繋いでいたアンテナ(CLP5130-1からアンテナ切替器 CX310Aを通した同軸ケーブル)をこのXDR-F1HDに繋いでいます。


All reported by "Konsu"
in Tokyo, JAPAN