本文へスキップ

WEST TOKYO TV-FM DX

Since June 11, 2000
All Times in JST (e.g. 00:00=0000)

TOP > Special Reports > 47.90MHzのBGM音楽放送の受信とチリの環境音楽限定サービス放送局SCAMUSICAからのQSL返信

47.90MHzのBGM音楽放送の受信と
チリの環境音楽限定サービス放送局SCAMUSICAからのQSL返信

2001.05.25 UP
2022.03.10 一部文字修正


Part 1 47.9MHzのBGM音楽放送受信
1. プロローグ

 私が47.9MHzのチリのFMと言われているものの存在を知ったのは、JVUDXCの会報に2000年春に福永光洋さんが寄せられた投稿でした。福永さんは、現在は既に休刊となった「モービルハム」誌の2000年3月号で、日本のアマチュア無線家がチリのFMを南米方面のパイロットに使用していることを知り、ほぼ同時期にオーストラリアのVHF-DXerからこれらの周波数リストが載っているチリのアマチュア無線家のホームページ(後述)を教えて頂いたとのことでした。

2. 福永さん、47.9MHzのBGM音楽放送を受信!

 そして、熊本の福永さんは、連日の留守録音を行い、2000年3月23日 11時過ぎに47.9MHzでインストゥルメンタルン音楽を初受信されました。BCL界(どの辺にBCL界の境目があるのか自分でもよく分かりませんが……)では、47.9MHzのBGM音楽放送が受信されたのは、これが初めてだと思います。その後、福永さんは2000年10月の10時台にも47.9MHzでインストゥルメンタル音楽を受信されました。詳しくは福永さんのホームページ「TV・FM-DXの広場」の「TV・FM-DXの広場掲示板 過去ログ 1999年-2000年」にある「チリのFM [19] [2000年 7月12日 21時32分35秒]」、「6m、EUからのLP [3] [2000年10月15日 11時 9分16秒]」をご覧下さい。

3. 2001年春、各地で47.9MHzのBGM音楽放送受信される。そして私も……

 2001年春になって、2月末から3月にかけて、「アジア放送研究会ホームページ」の「FM・TV異常伝播」の掲示板や、当方のホームページの掲示板において、47.9MHzでBGM音楽放送を受信したという報告が相次ぎました。特に神奈川の杉原多ニ雄さんがIC-R7000+室内アンテナで受信されたという報告には触発されました。実のところ、私自身はこの頃、少しワッチ意欲が薄れていたことと、受信出来ないだろうという先入観を持っていて、ワッチは全然していませんでした。しかし、杉原さんの報告を見て、もしかしたら……という思いが大きくなったのでした。

 休みの日に午前中時々47.90MHzをワッチしていましたが、最初のうちはワッチ時間が短かったことや、アンテナを北東方向に向けていたこともあってか全く受信出来ませんでした。杉原さんの当方の掲示板への、アマチュア無線のクラスターのホームページにアップされている報告によると、3月4日の入感では入感方向はほぼ東という書き込みを拝見し、アンテナ方向を東に変えました。

 そして、3月6日、ようやく当地でも47.90MHzのBGM音楽放送を受信することが出来ました。この日の朝は時間に余裕があったため、8時過ぎから47.90MHz、アンテナを東に向けてずっと聞いていました。すると、+0858+, +0901+, +0903+, +0906-0909+にEasy Listeningが入感してきました。最初の3回の入感は各々5秒程度浮かんでくる程度でしたが、+0906-0909+は連続した安定した入感でした。内容はやはりEasy Listeningの音楽のみで、アナウンスなどはありませんでした。+0906-0909+の入感の際に調べたところ、周波数は47.90MHz、アンテナ方向は東(感覚的には東よりやや北かなといった感じ)でした。

 アマチュア無線のクラスターのホームページ"THE JAPAN DX CLUSTERS"でも、JF2KOZさんが当日0906に「CEMUSIC 47.9mhz loud」を報告されており、これがアマチュア無線界でチリのFMと言われているものだろうとの確信を持ったのでした。

4. 当地での受信データ

 ここで、2001年3月~4月に当地で受信したデータをまとめておきます。

 3月7日以降はタイマー録音をしておいたものです。3月7日以降は、ほぼ連日、ダブルMDデッキを使って7時前~12時過ぎにタイマー録音をしておきました。受信機やタイマーのセットをし忘れたり、アンテナの方向が違う方向を向いていたというミスもありましたが(笑)、4月下旬まで、8割くらいの日はタイマー録音&帰宅後の録音チェックを行いました。MD録音は早送りで聞き直しているため、約10秒以下の入感は気付いていない可能性もあります。

周波数:47.90MHz
受信機・アンテナ:ICOM IC-R7000+CLP5130-1
受信機の受信モード:全てFM Narrow
アンテナ方向:東
受信地:東京都西部
受信内容:全てNon-stopのEasy Listeningのみ。アナウンスの類は全くなし。

▽3月6日,+0858+,+0901+,+0903+,+0906-0909+,poor。+0906-0909+にアンテナ入感方向を調べると東(感覚的には東よりやや北)。ワッチを止めた10時以降も13時頃までMD録音していたが、入感はなし。
▽3月7日,+0659~0703+,+0706+,poor。0700にもアナウンスはなし。
▽3月8日,+1049-1120+,S-2。
▽3月22日, +0958-1103+,+1105+, poor。特に1035頃-1100頃は大変良好で、私が今まで受信した中では一番のコンディションだった。
▽4月7日, +1044-1045+,+1049+,+1052+,+1053+,+1055-1109+,+1111-1115+, poor。
▽4月8日, +1010-1057+,+1100-1101+,+1102-1120+,+1122+,+1125-1128+, poor。1041と1113から数分間は別内容の2局が混信しており、後者はそれまで入感していた局をつぶして、後から入感してきた局に入れ替わっていた。2局混信しながら受信したのは初めて。この1045前後と1115前後はFBだった。内容は全てEasy Listening。
▽4月10日, +0745-0810+,+0813-0823+, poor。
▽4月13日, +1026-1032+, poor。

受信時には同時に日本の6mバンド(50MHz帯)アマチュア無線では南米局との交信が報告されていることが多かった。
Part 2 47.9MHzのBGM音楽放送の探求開始 ~ 本当にこれはチリのFMなのか? ~
1. チリのアマチュア無線家Felipe "Pipe" Asenjo CE3SADさんのホームページのリスト

 さて、私は初受信した2001年3月6日から早速この47.90MHzのBGM音楽放送について調べ始めました。

 そもそも、この47.90MHzのBGM音楽放送は本当にチリのFMなのでしょうか?

 受信されていたのはEasy Listeningの音楽のみで、アナウンスの類はどなたも聞かれていませんでした。アマチュア無線界ではチリのFMと言われていましたが、BCL界では局名が確認されたり、チリ局であるとの確証すらありませんでした。

 ただ、3月6日のアンテナの入感方向がほぼ東であったことや、47.90MHzのBGM音楽放送がFBに受信出来る時には、アマチュア無線のクラスターのホームページにブラジルやチリの6m(50MHz帯)のアマチュア無線局との交信記録がアップされており、チリのFMとまでは言わないまでも、南米方面の局の可能性は高いと思っていました。

 しかし、BCLの面からすると、局名が確認出来なければどうしようもありません。「アマチュア無線界でチリのFMと言われているもの」、「不明局」で終わってしまいます。

 そこで、結果が出るかどうか分からない、スペイン語が全然分からない(涙)ながらも、とりあえず動き始めることにしました。

 まず、最初に頭に浮かんだのは、先述のチリのアマチュア無線家Felipe "Pipe" Asenjo CE3SADさんのホームページ"DX en 6 metros por:"の中にあるリストです。

http://www.qsl.net/ce3sad/6m.html

 上にスペイン語の説明文、その下に周波数リストがあります。"Frecuencia"は周波数、"Señal"はコールサイン、"Potencia Watts"は出力、"Localizador"はロケーション、"Ciudad"は都市の意味です。

 "Localizador"でFF××とあるのは、福永光洋さんのアドバイスによると、グリッド・ロケーター(Grid Locator)で、日本アマチュア無線連盟の『アマチュア無線ハンドブック』によれば、地球上の緯度・経度の線を格子状(Grid)に区分し、アルファベットと数字で最大6桁に組み合わせて表示するものとのことです。チリ辺りは北から、FH、FG、FF、FE、FDとなっており、2桁の数字はこれらの区画のひとつをさらに10×10に分割し、100区画に分けたものだそうです。

 この中の周波数リストを以下にピックアップします。

Frecuencia Señal Potencia Watts Localizador Ciudad
47,4 XQA-230 500 FG57 Calama
47,9 XQA-156 250 FG40 La Serena
47,9 XQB-10 5000 FF46 Santiago
47,9 XQB-72 1000 FF47 Vina del Mar
47,9 XQC-68 1000 FF33 Concepcion
47,9 XQC-166 500 FF46 Rancagua
47,9 XQB-155 1000 FF46 Santiago
48,3 XQB-153 1000 FF46 Santiago
49,3 XQA-157A 800 FG42 Copiapo
72,6 XQA-158 100 FG57 Calama
72,6 XQA-229 1000 FH50 Iquique
72,6 XQB-146 3000 FF46 Santiago

 このリストは当初、JVUDXCでは(中波局の)STLと考えられており、私も最初、その先入観からここに書いてあるコールサインと、チリの中波局のコールサインとの整合性を考察したりしていましたが、のちにこれはSTLではないことが分かりました。

 2000年春に福永さんがこのページを見た時には、まだページ上の説明文は無く、ページ下の周波数リストだけだったとのことです。このことから、ページ下の周波数リストと、WRTHのチリの項と比較して、これが普通のFM放送ではない、STLではないだろうかと、考えてしまったのもいたしかたなかったかと思います(……と自己弁護含む)。

 さて、このページ上の説明文について、金井毅さんのホームページ"YOKOHAMA DX !"の掲示板での私の書き込みに対して、金井さんから「送信所とスタジオを繋ぐ回線(すなわちSTL)ではない、と書いてあるように思います」とレスを頂きました。

 そして、知り合いの某氏が翻訳にご協力して下さいましたので、以下に紹介します(感謝感謝です)。

以下は、チリで放送免許を発給する公的機関である、電気通信省が発行する資料を基にしている。何人かの友人から報告のあった他の周波数の受信は、無許可或いは放送割当周波数外で送信している局のものであると言える。
これらの放送は他のFM放送と同様、演奏所と送信所の連絡回線ではなく、軽音楽を公的または私的空間の環境作りの為、個々に活用されています。XQB-146の場合、バス(オムニブス、コレクティーボ「乗り合いタクシー」等、貴方の国でどう呼んでいるか)でのみ放送されており、これをラジオバスと呼んでいる。米国では、この放送形態はミューザックと命名されていると思います。

 これでこのリストに記載されているものがSTLではないことがはっきりした訳です。

2. 日本、アルゼンチンのアマチュア無線家のホームページのリスト

 ここで若干チリオンリーからははずれますが、この探求の過程で、日本やアルゼンチンのアマチュア無線家のホームページにある中南米諸国の興味深いリストを見つけました。

 まず、こちらは日本のアマチュア無線家JR3HEDさんのホームページ"JR3HED page"の中にある「6mビーコン等 -2000年3月4日-」のリストです。

http://www.street.co.jp/~jr3hed/radio/6m/beacon.htm

 この中で「○○-FM」とあるのが「放送」を想像させます。この中の「○○-FM」とあるものを以下にピックアップします。

Freq. CALL Freq. CALL Freq. CALL Freq. CALL
47.1750 PY-FM 47.8000 CE-FM 48.0000 CE-FM 49.2500 FM(SA)
47.2650 PY-FM 47.9000 CE-FM 48.3000 CE-FM 49.5800 KP-FM
47.3400 PY-FM 47.9100 CE-FM 48.4400 LU-FM 49.9300 LU-FM
47.5200 LU-FM 47.9200 CE-FM 49.1300 CE-FM    
47.7750 TG-FM 47.9700 CE-FM 49.2000 CE-FM    

 このリストのCE-FMの中には、後述のチリの電気通信省SUBTELの公式リストにある周波数とは周波数が若干ズレているものがありますが、これが先のFelipe "Pipe" Asenjo CE3SADさんのリストの文章中にある、「何人かの友人から報告のあった他の周波数の受信は、無許可或いは放送割当周波数外で送信している局のものであると言える。」に該当するのかと推察します。

 また、こちらはアルゼンチンのアマチュア無線家Alberto "LU2EG"さんのホームページ"6 METROS EN ARGENTINA Y URUGUAY"の中にある"Señales de referencia por debajo de los 50 MHz","REFERENCE BELOW 50 MHZ"のリストです。作成はNéstor Eduardo Zucchi "LW5EJU"さんです。ほとんどがスペイン語です。Copyright (c) 1997とありますので、若干古いリストではあります。

http://www.qsl.net/lu_6_meters/signals.htm

 この中の周波数リストを以下にピックアップします。

FM Signals
1) 47.100 MHz (Policia de Colombia)(Colombia Police)
2) 47.100 MHz (Policia de Brasil)(Brasil Police)
3) 47.175 MHz (Policia de Colombia)(Colombia Police)
4) 47.265 MHz (Policia de Brasil)(Brasil Police)
5) 47.325 MHz (Policia de Colombia)(Colombia Police)
6) 47.340 MHz (policia de caminos del Brasil)(Brasil police)
7) 47.350 MHz (Policia de Colombia)(Colombia Police)
8) 47.520 MHz (radiollamada - Bs. As.- Argentina (FM Y POCSAG/FM)(Pager)
9) 47.775 MHz (Monocanal Guatemala )(Monochannel from Guatemala)
10) 47.900 MHz (Música funcional Chile)(Chile music)
11) 48.300 MHz (Música funcional Chile)(Chile music)
12) 48.440 MHz ("Alfredo Péculo" - Boulogne - BA- Argentina) - GFO5-(Undertakerīs)
13) 49.200 MHz (Música Chile)(Chile music)
14) 49.250 MHz (Monocanales telefónicos del Caribe)(Caribe monochannel phone)
15) 49.580 MHz (Monocanales telefónicos - Puerto Rico)(Puerto Rico monochannel phone)
16) 49.930 MHz (Policia de la Rioja - Argentina )(Argentina Police)
17) Señales radiotelefónicas entre 49.000 MHz y 50.000 MHz (cuando hay condiciones se escuchan en cantidad en FM) (Cordless telephone, really a lot)
Copyright (c) 1997 Néstor Eduardo Zucchi "LW5EJU".

 知り合いの某氏によると、「特に大した事は書いてありませんが、(17)の「49~50MHz間でのコードレスホン等夥しい種類のあらゆる無線電話放送波」というのを見てアクションバンドの世界を連想しました。」とのことです。

 ただし、これらのJR3HEDさんとNéstor Eduardo Zucchi "LW5EJU"さんのリストにある中南米諸国のリスト全てがチリと同様の「放送」であるかどうかは分かりません。「放送」とは言えないものも含まれている可能性も考えられます。

3. チリの電気通信省SUBTELの公式リスト発見

 さて、話をチリに戻しましょう。

 当方の掲示板において、金井さんからチリの電気通信省Subsecretaría de Telecomunicaciones(SUBTEL)のサイトを教えて頂きました。

http://www.subtel.cl

 これが大きな進展になりました。全文スペイン語で、スペイン語が分からないながらも(汗)、ここを探ったところ、色々な公式リストなどが次から次とあるではありませんか! 時間を忘れ、無我夢中でPCのモニターに食い入ったのは言うまでもありません(笑)。

(3-1) チリの周波数割り当て

 まず、見つけたのは"Plan de uso del Espectro Radioeléctrio Consulta Interactiva"で、ここにはチリの周波数割り当てが書いてあります。

http://www.subtel.cl/consultas/indice.htm

 この中の47-50MHz, 72-73MHz, 74.6-74.8MHz, 75.2-76MHzの部分には同じ文章が書かれており、下記は知り合いの某氏から頂いたその日本語訳です。

「無線業務範囲の相互活性化協議」の使用総合計画に基づく委託サービス:
固定業務-移動業務

関連文書:
文書在る事の無き也
(3-2) 中波・短波・FM(88-108MHz)の公式リスト

 これは参考までになりますが、この"Servicios de Radiodifusión"には中波・短波・FM(88-108MHz)の公式リストがあります。

http://www.subtel.cl/concesiones/radiodifusion/radiodifusion.htm

(3-3) "Limitado de Música Ambiental" ~ 環境音楽の限定サービス

 そしてこの"Servicios Limitados"のページの中に"Limitado de Música Ambiental"があり、その説明がされていました。

http://www.subtel.cl/concesiones/limitados/limitados.htm#02
 "Limitado de Música Ambiental"のタイトル直下に説明文があり、下記は知り合いの某氏から頂いたその日本語訳です。

「環境音楽」の制限(?):
音声及び音楽のメッセージを個々に、契約した法人もしくは個人に対して放送するサービスを「環境音楽」と呼ぶ。このサービスは、FM音声のラジオ放送と同種である。公認団体は加入者に対し、運用周波数に同調した受信施設を提供する。

 この"Limitado de Música Ambiental"については、「アジア放送研究会ホームページ」の「FM・TV異常伝播」の掲示板において、アジア放送研究会会員の日那暢夫さんから、"Limitado de Música Ambiental"の他のページも考慮した上で、次のような説明を頂きました。

これは限定サービスのうち、BGMに限定されたものである。許可された個人又は法人が送信でき、許可期間は10年(延長可)である。加入者(契約した企業又は個人)が送信周波数に同調する受信機で受信する。

 Mercantil.comという南米のイエローページのようなホームページ内の下記ページのタイトルが"Chile - BACKGROUND MUSIC / MUSICA AMBIENTAL"とあります。ここには後述のSCAMUSICAも載っています。

http://www.chilnet.cl/rubros/MUSICA02.HTM

 "Limitado de Música Ambiental"はチリの限定サービスのうち環境音楽(Música Ambiental)の限定サービスのこととなります。

(3-4) 環境音楽(Música Ambiental)の限定サービスの公式周波数リスト

 "Limitado de Música Ambiental"の"Permisos Vigentes"をクリックすると、"Música Ambiental"(環境音楽)の限定サービスの公式周波数リストがありました。

http://www.subtel.cl/concesiones/limitados/m-ambiental/resumen.htm
 リスト中の"Señal Dist"はコールサイン、"Frec"は周波数、"Permisionario"は公認団体、"Ciudad"は都市、"Fecha"は日付(認可日か?)の意味です。"Res."は不明です。

 リストに掲載されている周波数には47.2, 47.4, 47.6, 47.9, 48, 48.2, 48.3, 48.4, 48.6, 49.2, 49.3, 49.4, 49.6, 49.9, 72.4, 72.6, 75.6, 75.8MHzがあります。

 このリストから今回BGM音楽放送が受信されている47.9MHzにリストされているものをピックアップしておきます。

Señal Dist Frec Permisionario Ciudad Res. Fecha
XQA-156 47.9 Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda. La Serena 1065 3/10/94
XQB-072 47.9 Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda. Vina del Mar 214 16/11/87
XQC-166 47.9 Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda. Rancagua 249 10/08/92
XQC-068 47.9 Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda. Concepcion 253 22/12/87
XQD-110 47.9 Pedro Patricio Osvaldo Aubel Araneda Valdivia 274 14/09/89
XQB-010 47.9 Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda. Santiago 971 2/04/93

 つまり、チリには限定サービス(Servicios Limitados)のうち環境音楽(Música Ambiental)の限定サービスがあり、これはSUBTELに認可された公認団体が加入者(契約した企業又は個人)に対して、専用受信機を配布して、FM波(47~50, 72~73, 74.6~74.8, 75.2~76MHz)を使って放送する環境音楽限定サービスの放送局だった訳です。

 日本でたとえるならUSENが加入者に対して無線を使ってBGM音楽放送を送信するようなものでしょうか。ノンスクランブルであるため、この周波数帯が受信出来る受信機があれば、誰でも受信出来てしまうことに少し矛盾も感じますが、まあそういう放送なのでしょう。

 47.90MHzのBGM音楽放送は受信状況からこのチリの環境音楽限定サービスの放送局だろうと推定されます。

4. SCAMUSICAのホームページ発見

 SUBTELの公式周波数リストで47.9MHzには、Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda.という公認団体が多くの都市で放送を行っているのが分かります。先述のFelipe "Pipe" Asenjo CE3SADさんのリストと比較すると、出力も250W~5kWとわりと大きそうです。

 ここで、私は47.9MHzで受信出来るBGM音楽放送がこのSoc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda.ではないかと全く個人的に“想像”し、Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda.について調べることにしました。

 SUBTELの公式周波数リスト全体を見ると、このSoc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda.は"Música Ambiental"の中でも最大規模の公認団体のようです。

 検索をしたところ、上でも書いたMercantil.comという南米のイエローページのようなホームページ内の"Chile - BACKGROUND MUSIC / MUSICA AMBIENTAL"のページで、"SOCIEDAD DE DIFUSION DE MUSICA AMBIENTAL SCAMUSICA LTDA."の記載を見つけました。

http://www.chilnet.cl/rubros/MUSICA02.HTM

 "SOCIEDAD DE DIFUSION DE MUSICA AMBIENTAL SCAMUSICA LTDA."のTrade Nameは"SCAMUSICA"とあり、今度は"SCAMUSICA"で検索をかけると、このSCAMUSICAのホームページを見つけることが出来ました。
余談ですが、このSCAMUSICAのTOPページではFlashが使われており、音声でジングルっぽいものが"... Scamusica."と流れ、変に感動してしまいました(笑)。

http://www.scamusica.cl/

 ここも全文スペイン語のサイトなので、書かれている詳細は私には分かりません(涙)。
下記の"Scamusica"のページには会社説明が書いてあるようです。

http://www.scamusica.cl/html/f_scamusica.html

 専用受信機らしきものの写真もあり、SUBTELのサイトに書いてあった「公認団体は加入者に対し、運用周波数に同調した受信施設を提供する。」の文を思い起こさせます。

 このページで下記のように住所、電話番号、FAX番号、e-mailアドレスが書いてあるのを見つけました。

El Conquistador del Monte 4644
Huechuraba . Santiago . Chile

Telefono 7401010 . Fax 7400418

ventasca(アットマーク)scamusica.cl

 また下記の"Canales"のページには次のように各チャンネルが書かれています。

http://www.scamusica.cl/html/f_canales.html

canal 1 : ORQUESTADO - INSTRUMENTAL
canal 2 : ANGLO - POP
canal 3 : SHOPPING PLUS
canal 4 : LATINO
canal 5 : OLDIES - RECUERDOS
canal 6 : CLASINO

 各々RealファイルとMP3ファイルが置いてありますが、これらはサンプル音声のようで、ライブ放送ではありません。

 "Canales"をクリックした時に最初に出てくる"Programación"にRadio el ConquistadorとRadio Para Ti FMというラジオ局の名が出てきますが、知り合いの某氏によると、Radio el ConquistadorとRadio Para Ti FMとの事業提携で番組援助を受けているとのこです。チャンネルのどの時間帯かというのは不明です。

 書かれている詳細は分かりませんでしたが、とりあえず、住所などが分かったので成果はあったと言えるでしょう。

5. 他の公認団体は?

 SCAMUSICAのホームページ発見に気を良くして、SUBTELのホームページに記載されていた他の公認団体のホームページが見つけられないものかと、色々検索してみましたが、下記の公認団体のホームページは見つけることが出来ませんでした。世の中そんなに甘くはありませんね(笑)。

 日那暢夫さんからアドバイスを頂きましたが、SUBTELの"Limitado de Música Ambiental"の説明によると「許可された個人又は法人が送信できる」とのことで、ここには個人名も含まれているのでしょう。日那さんによると、"Permisionario"は、ある西和辞典には「公の許可を得た人;公認団体[機関]」と記載されているそうです。

JMG Telecomunicaciones Ltda.
María Patricia del Carmen Lazaro Boeri
Ivan Rory Centellas Contreras
Soc. Comercial Martínez y Cía. Ltda.
Héctor Raúl Gallardo Valenzuela
Soc. Rad. Montecarlo Ltda.
Radioemisora Música Ambiental S.A.
Pedro Patricio Osvaldo Aubel Araneda
Wladimir Alejandro Martínez Barria
Cornejo Aguilar y Cía. Ltda.
Soc. Publicidad Magallanes Ltda. (Puma Ltda)
Consorcio Satélital Urbano On Line Saturno S.A.
Soc. de Innovaciones Tecnologicas S.A.
Soc. Rad. Música Ambiental S.A.
Soc. Comunicar S.A

 ただ、このうち、Soc. Comunicar S.Aについては、先述のMercantil.comの"Chile - BACKGROUND MUSIC / MUSICA AMBIENTAL"のページに記載がありました。"COMUNICAR S.A."とあって、Trade Nameは"MUSICAR M.R."とあります。

 以上は主に2001年3月6日~3月中旬にインターネットで調べた情報となります。

6. SCAMUSICAからの返信

 さて、47.90MHzで受信出来るBGM音楽放送がSCAMUSICAではないかとの全く個人的な“想像”に基づき、SCAMUSICAに受信報告書もどきの手紙と受信テープをダメもとで送ってみることにしました。

 「受信報告書もどきの手紙と受信テープをダメもとで送る」という方法は、以前から私が海外TV局に対してよく行っていたことで、意外と8割くらいの確率で返信を得ていたからです。

 もちろん、そのための努力は惜しみません。手紙の内容を自分なりに工夫して書くことはもちろんのこと、返信料も気を使います。相手は一般の国際放送局とは異なるのですから、IRCの使い方なんかを知っている保証はありません。今回はSantiagoという大都市ですが、地方都市なんかでは郵便局員ですらIRCを知らないことも考えられます。相手国から日本に航空便で送れるだけの料金分(+α)の相手国の切手を同封出来れば、それに越したことはなく、今まで中国のTV局に送る時には、中国の切手は比較的入手し易かったため、この方法を利用していました。しかし、今回はチリという私にとっては全く未知の国であるため、今回は多くのBCLの方が利用している米1ドル○○2枚を同封することにしました(事情により一部伏字です……汗)。更には‘袖の下’も忘れずに同封します。何を同封したかは秘密です(笑)。とにかく相手の気を引かせることが大事でしょう。

 ただ、手紙の作成言語は迷いました。スペイン語で書くか英語で書くかです。もちろん、スペイン語で書けば返信率もグッとアップするでしょうし、それは上でも書いた返信をもらうために努力を惜しまないことと言えるでしょう。しかし、今回は英語で書く方を選びました。語学不足と、このような特殊な受信を自分の納得のいくように手紙に書くには英語の方がいいと思ったこと、ホームページを見るに相手が比較的大きな会社と思われたので、英語の理解出来る人間がいるのではないかと思ったこと(これはあまえですが)からです。

 SCAMUSICAへの送付は、長時間比較的良好に受信出来た2001年3月22日 +0958-1103+の受信分を送ることにしました。受信テープはMDに連続録音されていた1037-1103+の約25分間を全てダビングしました。

 そして2001年4月上旬に発送したのですが、ここで思わぬ大ミスをしてしまいました! 上では偉そうなことを書きましたが、実はついうっかりしていて、封筒に「AIR MAIL」と書くのを忘れてしまったのです!(アホモード……とほほ) 2日後、再度同じものを、封筒には忘れずに「AIR MAIL」と書いて発送したのは言うまでもありません(笑)。

 最初の発送から19日目、2度目の発送から17日目の4月下旬、1通の手紙が届いていました。すぐにホームページで見慣れたSCAMUSICAのマークと文字に目が行きました。き、来た! 封筒の宛名の右側がシールやら手書きの文字でごちゃごちゃしています。あとで家族に聞くと書留で返信が来たとのことでした。

 中身を開け手紙を見るとちゃんと英語で返事がかかれています。

 別ページに返信物をアップしてありますので、ご参考にして下さい。

 チリのSCAMUSICAからの返信

 "You catch channel one, orquestral, instrumental."。ホームページにあったcanal 1 ORQUESTADO - INSTRUMENTALのことでしょう。同じ日、やはり同社に手紙を送っていた福永光洋さんのところにも全く同内容の返信が届き、福永さんは私が当方の掲示板で書いていた「47.90MHzはcanal 1のORQUESTADO - INSTRUMENTALかもしれませんが、これは‘想像’のし過ぎでしょうか」という書き込みを基に、「SCAMUSICAのcanal 1 ORQUESTADO - INSTRUMENTALではないか?」と直接問い合わせたそうで、それに対する返答がこれでしょう。

 返信内容の主要部分を書きますと、私が受信したのはSCAMUSICAのChannel One, orquestral, Instrumentalとのことです。同局はチリの異なる都市で47.9MHzと他の非常に近い周波数を使用しており、v/sのJOAQUIN MOLFINOさんはSantiagoのPrincipal station(主要局)を受信したと考えています。このSantiagoの主要局はSal Cristobal Hillにあり、海抜980m、3KW、2 dipoles, one vertical, one horizontalとのことです。これは出力の高さからSantiagoの主要局と判断されたのだと思います。

 なお、文頭に"I receive 3 reports about your reception in Japan of ower station and your kindly letter."という記述があります。1通は福永さん、1通は私ですが、あと1通はどなたのことを指しているのでしょう? これについては今もって謎です。私と福永さん以外に同社に手紙を送った方がいらっしゃったのかもしれませんし、もしかしたら私が最初に送った「AIR MAIL」と書き損ねた手紙を、郵便局員さんが気を利かして航空便で送ってくれたのかもしれませんね(笑)。

 ここで返信データをまとめておきます。

受信日時:2001年3月22日 +0958-1103+
周波数:47.90MHz
同封物:受信テープ(1037-1103+の約25分間)、米1ドル○○2枚(一部伏字……汗)
受信報告作成言語:英語
返信物:QSLレター、ステッカー、蝶のシール
返信日数:19日。往復共に航空便。返信は書留。

 次に手紙の全文を紹介します。"ower"は"our"の誤りかと思います。

Santiago, April 17th 2001.

Dear Mr.
XXX XXX
PRESENT

I receive 3 reports about your reception in Japan of ower station and your kindly letter.

I found this business of background music 12 years ago and now we are the one in South America. We use matrix system and operate with several different programs.

You catch channel one, orquestral, instrumental. Also we use the same frequency 47.9 and other very near frequency in difference cities in Chile, but I think that you receive ower principal stations of Santiogo, Chile over Sal Cristobal Hill ( 980meters over ocean ), with 3KW an 2 dipoles, one vertical, one horizontal.

By other side, we operate for 40 years as the first FM station El Conquistador covering 5000 Kts and 115 cities. This broadcast is the first of South America from Arica to Tierra del Fuego.

I'm very glad of your report. Personally also I love DX reception and never I receive before nothing from your latitude and distance.

I send to you my best thanks for your technical cooperation and your letter we install in the gallery of the important events for ower conglomerate.

I send to you some souvenirs and my best wishes, if one day you decide visit Chile, please call me.

Best regards,

JOAQUIN MOLFINO
最後に

 終わりに2つ書き添えておきたいことがことがあります。

 1つは、これはあくまでも私の個人的な考えでありますが、BCLにおける局名確認とは、IDなど、受信した内容から局名確認してこそ、はっきり「当該局と確認した」と言えるものであって、今回のように局からの返信によって確認された場合は、「受信した局は不明局。ただし、局からの返信によってSCAMUSICAと確認された」とすべきかと思っております。受信ではBGM音楽以外のアナウンスなどは聞けておらず、この受信局は不明局と扱うのが妥当でしょう。47.90MHzのBGM音楽放送はどうも音楽オンリーで、IDの類は出てなさそうな感があり、このような姿勢からすると永久に局名確認が出来ない気もしますが、私個人としてはこの姿勢は崩す気はありません。

 SCAMUSICAのホームページではTOPページのFlashや、ホームページ内のRealファイル、MP3ファイルを聞くと、ジングルっぽいものや、Canned IDっぽいものを聞くことができ、これが40,70MHz帯の放送でも流れてくれないものかと、ささやかな期待は持ってはおりますが……(笑)

 もう1つは、少なくとも私が2001年3月22日 +0958-1103+に受信した放送はSCAMUSICAからの返信によって、同局のcanal 1 ORQUESTADO - INSTRUMENTALの系統と確認されましたが、47.90MHzでは少なくとも2局のBGM音楽放送が混信して受信出来たことがあったことや、SUBTELの周波数リストには47.90MHzにSCAMUSICA(Soc. Dif. Música Ambiental Scamusica Ltda.)の複数のロケーションとPedro Patricio Osvaldo Aubel Aranedaなる公認団体がリストされていることから、47.90MHzで受信出来る放送が全てSCAMUSICAや、SCAMUSICAのcanal 1 ORQUESTADO - INSTRUMENTALの系統とは限りませんので、この点、書き添えておきます。

 最後に、47.90MHzのBGM音楽放送受信から始まって、その後の各ホームページの調査、更にはSCAMUSICAからの返信と、ここまで辿り着けましたのは、私1人ではとても出来なかったことです。スペイン語ホームページの翻訳など、多く方々のご協力がなければ、ここまで結果を出せなかったと思います。受信そのものについても、私は福永さんや、杉原さんの後を付いて、ワッチを始めた方ですし……。皆さん、本当に色々とありがとうございました。厚くお礼申し上げます。

 ここで、感謝の意味も込めまして、ご協力頂いた方々、2001年2月~4月にかけて当方のホームページの掲示板に今回のBGM音楽放送に関する受信情報・調査結果などを書き込んで頂いた方々のお名前をご紹介させて頂きます。

▽ご協力頂いた方々(五十音順)
ffkさん、金井毅さん、知り合いの某氏様、杉原多二雄さん、太平洋さん、竹野さん、中野邦彦さん、日那暢夫さん、福永光洋さん、よしぞうさん。

▽参考サイト(個人のみ)
DX en 6 metros por:, Felipe "Pipe" Asenjo CE3SAD
JR3HED page, JR3HED
6 METROS EN ARGENTINA Y URUGUAY, Alberto "LU2EG"
TV・FM-DXの広場, 福永光洋
YOKOHAMA DX !, Takeshi Kanai


All received and reported by "Konsu"
in Tokyo, JAPAN
with
RX : ICOM IC-R7000
ANT : CREATE CLP5130-1

情報を転載・引用する際には「WEST TOKYO TV-FM DX」の"こんす"の情報である旨を明記して下さい。