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ヨーロッパ仕様チューナー KENWOOD KT-6040 使用記

2005.06.19 UP

画像削除 2014.11.24 UP / 2016.04.11 UP


入手

 ヨーロッパ仕様チューナー SONY ST-SA5ESに続いて、2005年6月にドイツのeBayで同じくヨーロッパ仕様チューナーのKENWOOD KT-6040の中古を入手しました。

 オーストラリアのFM-TV DXer Todd Emslie氏はFMチューナーのレビューにおいてKT-6040の選択度を非常に評価しており、ST-SA5ESは選択度、周波数ステップにおいてKT-6040に劣るとも書かれておられます。このことから是非KT-6040を入手したいと思っていました。ドイツのeBayではKT-6040は比較的安価で取引されているということもあります。

 今回の出品者の方もドイツの方でした。チューナーの落札金額61Euro、送料128Euro(Standard mail)、相手のPaypal換金代(出品者の方が自分のPaypal口座から銀行口座に送金する代金)8Euroで、合計197Euro、支払い時のレートで27303円でした。

 Paypalで支払いを済ませ、メールで知らせるとすぐに発送してくれ、約10日で品物が届きました。ところが、今回は何故か関税は全く取られませんでした。ST-SA5ESの時は合計1500円取られたのに不思議です。やはり関税は担当者の裁量に任されているのでしょうか。なんにしても今回はラッキーでした。

 届いた品物もとても綺麗でした。完動品です。

写真

 写真を紹介します。画像をクリックすると、大きなサイズの画像が別ウィンドゥで開きます。


本体正面

本体正面アップ左

本体正面アップ中央。前面パネル部分。

本体正面アップ右

本体背面

本体背面アップ左。アンテナ入力端子など。FMのアンテナ入力端子はヨーロッパPAL型オス。"MADE IN JAPAN"の文字があります。

本体背面アップ右。LINE OUT端子など。

電源プラグ。タイプはヨーロッパのCタイプ。

←取説。ドイツ語、オランダ語、イタリア語で書かれています。取説表紙下部に"92/12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 91/12 11"と書いてあるので、1991~1992年頃の製品のようです。

主な仕様

FM受信周波数…87.5~108MHz
FM S/N比(1kHz)…Mono:83dB(85.2dBf input)、Stereo:76dB (85.2dBf input)
FMステレオ分離度…1kHz:60dB、6.3kHz:50dB
FM選択度…±300kHz:80dB(NORMAL)、±200kHz:80dB(NARROW)
アンテナ入力…75Ω
電源…230V~。50Hz
製造…MADE IN JAPAN
※RDS(Radio Data System)は受信不可。

 その他の詳細は右の取説(ドイツ語)のスキャン画像の"Technische Daten"を見て下さい。画像をクリックすると、別窓で開きます。

 電源は230Vのため変圧器が必要になります。私はST-SA5ES導入時に購入した忠利の電圧変換器カプトラのCUB-200Wを使用しました。

 アンテナ入力端子はヨーロッパPAL型オスです。上記写真の本体背面アップを見ると、メスのように見えますが、芯の部分に穴が開いているだけで、実際はオスになっています。これも私はST-SA5ES導入時に買いだめしておいたVA-8というヨーロッパPAL型メスのコネクターを使いました。

選局方式など

 選局方式はオートチューニング(良好に受信出来る局をサーチして選局)、マニュアルチューニング(ダイヤルノブを回して選局)、プリセットチューニング(プリセットしてある周波数をダイレクトに選局)がありますが、FM-DXに普段使うのはマニュアルチューニングでしょう。周波数のロック(固定)も出来ます。

 周波数ステップは0.02/0.03MHzステップです。ダイヤルノブを回すと、87.50→87.52→87.55→87.57・・・というように周波数が移動していきます。

 IFバンドの切り替えはWide、Normal、Narrowの3つがあり、前面のボタンで簡単に切り替えられます。もちろん選択度はNarrowが一番が良く、感度もNarrowが一番良いので、通常はNarrowしておきます。

感度・選択度

 同機、同機と同じヨーロッパ仕様チューナーのSONY ST-SA5ES、国内用チューナーのSONY ST-SA50ESの3機種で比較調査してみました。比較調査対象は感度・ステレオ分離度・音質は88.8MHzのNHK静岡FM放送、選択度は88~90MHzの間の数局のEスポ受信などです。IFバンドはいずれもNarrow。

感度: KT-6040≒ST-SA5ES≒ST-SA50ES
3機種共、同じくらいです。
選択度: KT-6040≒ST-SA50ES>ST-SA5ES
Toddさんが書かれていたようにやはりST-SA5ESよりもKT-6040の方が良いです。ST-SA50ESと同じくらいだと思います。
ステレオ分離度: ST-SA50ES>ST-SA5ES>KT-6040
ST-SA50ESが一番、次いでST-SA5ES。KT-6040は一番ステレオになりにくかったです。
音質: ST-SA5ES>ST-SA50ES>KT-6040
ST-SA5ESが一番良いですね。音質ではKT-6040は劣ります。

 なお、広帯域受信機 ICOM IC-R7000単体は感度・選択度共に上記3機種に勝っており、逆にIC-R7000+TV-R7000Jの「TV-R7000Jからの出力」は感度・選択度・ステレオ分離度・音質いずれも上記3機種に劣っています。

使用感

 上述のように感度、選択度、ステレオ分離度、音質のうち、ステレオ分離度と音質では私の持っている他の2機種に劣りますが、他の2機種は高級機なので、全体から見ればステレオ分離度と音質もそれほど悪くはないと思っています。海外FM-DXをするのに選択度がST-SA5ESより良い点は評価出来ます。

 ST-SA5ESは微弱局のステレオ受信時にはステレオノイズがうるさくて受信局のトークが聞き取り難いですが、その点、KT-6040はステレオノイズがうるさく感じることはなく、トークも聞き取り易いです。Eスポのように信号が強力な局はST-SA5ESでもそれほど気になりませんが、トロッポやスプレッドFのように信号の弱い状態が長時間続く場合はKT-6040の方が良いように思います。

 チューニングはKT-6040は0.02/0.03MHzステップなので、隣接局の混信を避けながらステレオ受信するには良いでしょう。ダイヤルノブは重からず軽からずです。KT-6040、ST-SA5ES両機共、デジタルシンセサイザーチューナーなので、チューニング時は周波数を変える度にいったん音声が途切れますが、その際の音はKT-6040の方がスムーズに聞こえて聞き易いように感じます。

総評

 海外FM放送をステレオ受信するのに同機は比較的良いチューナーです。

 私の場合は、私が持っている同じヨーロッパ仕様チューナーのSONY ST-SA5ESとの比較になってしまいますが、信号の強いEスポでの受信ではステレオ分離度・音質の良いST-SA5ES、スプレッドF(やトロッポ)などのように信号の弱い状態が長く続く受信ではステレオノイズがあまり気にならないKT-6040、といった感じになると思います。

 チューナーは普段はEスポのステレオ受信用に使っているので、ST-SA5ESがメイン機になり、KT-6040はサブ機になりそうです。

 ただ、ST-SA5ESはかなり高価なので、コストパフォーパンス的にはKT-6040が良いことは言うまでもありません。FM-DXに大切な選択度やチューニングステップもKT-6040の方が良いので、1機種だけで良いから海外仕様チューナーが欲しい方には同機はお勧めです。入手方法は現状では海外インターネットオークションなどに限られてしまいますが・・・。


All reported by "Konsu"
in Tokyo, JAPAN