検索しているとAR5000A+3とAR5000(以下、単にAR5000とします)をSDR受信機化する方法があるという個人ブログページを見つけました。
AR5000の背面にあるIF出力10.7MHz(BNCオス端子)をSDR受信機のDX PATROLに接続すると、AR5000で受信してSDRソフトでバンドスコープのように周波数帯域の様子を見たり、逆にSDRソフトでAR5000を受信操作したり、AR5000で受信した電波の受信帯域幅IFをSDRソフトで自由に可変することが可能になるというものです。
これができればSDR受信機より感度が良いAR5000を使って、帯域録音や受信帯域幅の自由可変ができる最強の受信機器ができるのではないかと夢が広がりました。
しかし、ハード面やSDR受信機の知識が乏しいため、AR5000とSDR受信機の接続方法、操作方法、DX PATROL以外のSDR受信機も使えるのかどうかなど、さっぱりわかりませんでした。
そこで太さんのインターネット掲示板でお尋ねしたところ、太さんと"ど"さんからアドバイスを頂きました。
頂いたアドバイスから、AR5000のIF出力10.7MHzからケーブルをSDR受信機のアンテナ入力に接続して、SDRソフトで10.7MHzに合わせれば良いことがわかりました。
SDR受信機はRTL-SDRならRTL-SDR.COM V3のようなダイレクトサンプリング対応(0~30MHz対応)の受信機を使う必要があるということでした。
手持ちのDVB-T+FM+DAB (RTL2832U+R820T2)で試したところ、何も受信できませんでしたが、同機の受信周波数範囲は25~1700MHzのため、10.7MHzは受信範囲外だったのでした。
そこで、9月下旬にAmazonでRTL-SDR.COM V3を購入しました。
4280円 送料無料
出荷元がAmazon、販売元がAmazonマーケットプレイスの日本の個人販売業者(?)でした。
9月下旬の朝に当日お届け便で注文、同日夕方にヤマト運輸ネコポスのポスト投函で届きました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0722LZFWNRTL-SDR.COM V3のアンテナ入力コネクターはSMA-J(メス)ですので、一緒にSMA-P(オス)/BNC-J(メス)の変換ケーブルを購入しました。
アンテナケーブルの取り回しで受信機のアンテナコネクターの破損を避けるためです。
798円 送料無料
出荷元がAmazon、販売元がAmazonマーケットプレイスの中国の製造・販売業者でした。
普段はAmazonマーケットプレイスの中華業者は避けていますが、製造も行っているのでまあ大丈夫だろうと楽観視しての購入です。
RTL-SDR.COM V3と同じ日の朝に当日お届け便で注文、同日夕方にAmazon配達のポスト投函で届きました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07HNWVSBVRTL-SDR.COM V3は偽物が出回っていて、今までは筐体のロゴが「RTL.SDR」だったりして見た目で簡単に判断できるものだったそうですが、RTL-SDR.COM公式サイトの今年7月8日のお知らせによると精巧な偽物が出回っているそうです。
新しい偽物は筐体やロゴがそっくりですが、サイドパネルのネジの留め位置が斜めになっていないこと、背面にある日付を示すNSY QC ステッカーがないことで判別がつくそうです。
https://www.rtl-sdr.com/watch-out-for-new-rtl-sdr-blog-v3-counterfeits/RTL-SDR.COM V3が届いてからまずサイドパネルのネジの留め位置や背面のNSY QC ステッカーを見て本物であることを確認して、更に念のためケース内のプリント基板を見て(サイドパネル両側のネジ合計4本を取ると中の本体が左にずれて簡単に取れます)、公式サイトに掲載されているプリント基板と同じことも確認しました。
https://www.rtl-sdr.com/buy-rtl-sdr-dvb-t-dongles/最初にRTL-SDR.COM V3にログペリアンテナ CLEATE CLP5130-1を繋いで、SDRソフトのSDR#、HDSDRでFM、短波、中波の通常受信ができることを確認。
そして、AR5000のIF出力10.7MHz→RTL-SDR.COM V3のアンテナ入力に接続して、"ど"さんのアドバイス通りにSDRソフトのSDR#、HDSDRを10.7MHzに合わせたところ、AR5000の受信局をSDR#、HDSDRで受信することができました!
SDRソフトはSDR#、HDSDRどちらでもできました。
10.7MHzの短波帯で受信するため、SDR#、HDSDRをダイレクトサンプリングモード(0~30MHzの長波・中波・短波の受信モード)にする必要があります。
AR5000で受信したFM、短波、中波のどれも受信できます。
SDR#はFMのステレオ放送はステレオで聞けます。
全体的にSDR#の方が感度が良い気がしました。
HDSDRでの中波受信は地元局が弱く受信できた程度でしたが、私の設定が悪いせいかもしれません。
SDRソフトを10.7MHzに固定してAR5000でチューニングを行う方法、AR5000の受信周波数を固定してSDRソフトでチューニングを行う方法の両方ができました。
後者はIF出力の設定を「EXT-IF 1」に設定している場合に有効で(詳細後述)、受信している周波数が直読できません。10.7MHzから±で計算する必要があります。SDRソフトの受信周波数を低くすると実際の受信周波数は高くなります。
AR5000で受信した電波をSDRソフト側で受信帯域幅を自由に可変してサイド混信を避けることもできました。
AR5000の受信帯域をSDR#で帯域録音することもできました(IF出力の設定を「EXT-IF 1」に設定している場合)。
AR5000のIF出力の切り替えは「FUNC」→「kHz(CONFIG)」→「UP」2回を押すとメニューが出てきて、「EXT-IF OFF」(出力OFF)、「EXT-IF 1」(IFフィルター前からの出力。バンドスコープなどに使用)、「EXT-IF 2」(IFフィルター後からの出力)が選択できます。
「EXT-IF 1」では、AR5000本体からの受信音とSDR#、HDSDRからの受信音を同時に聞くと、AR5000本体からは混変調オバケが出ていないのに、SDR#、HDSDRからは混変調オバケが出ている部分がありました。
これはFMと中波で起き、短波9MHz帯では起きていないようでしたが私が気付かなかっただけかもしれません。
FMと中波の感度は微弱な受信音で比べるとSDR#よりもAR5000本体の方がやや良かったです。
AR5000では聞こえている微弱な受信音がSDR#、HDSDRでは混変調オバケに潰されてしまっている部分がありました。
「EXT-IF 2」では、「EXT-IF 1」で出ていた混変調オバケがFM、中波共に消え、「AR5000本体で聞こえないオバケがSDR#で聞こえる現象」がなくなりました。
「EXT-IF 2」ではAR5000本体と「同じ音」がSDR#から聞こえます。つまり感度が全く同じになりました。
もちろんAR5000本体で出てしまう混変調オバケはそのままSDR#でも聞こえます。
しかも、「EXT-IF 2」ではSDR#のステレオ分離度が良いため、微弱なFM局が西欧仕様チューナー SONY ST-SA5ESやAR5000のIF出力から繋いだTV-R7000Jではステレオにならないのに、SDR#ではステレオになるようになりました。
ステレオ分離度の良さはAR5000のIF出力+SDR#>AR5000のIF出力+TV-R7000J>西欧仕様チューナー ST-SA5ESの順です。
一方で、「EXT-IF 1」の時に受信周波数の周囲に表示されていた周辺周波数局が「EXT-IF 2」では消えてしまい、バンドスコープができなくなってしまいました。
AR5000の受信周波数を固定してSDRソフトで周波数を動かすと、周囲の局が全く受信できず、AR5000の受信周波数を固定してSDRソフトでチューニングを行う方法ができません。
周囲の局が受信できないので、帯域録音もできません。
用途によって、ステレオ受信を取るか、多少のオバケがありながらも帯域録音を取るかで使い分けることになりそうです。
簡単にいじった程度ですが、バンドスコープ、AR5000で受信したFMステレオ放送をステレオで聞く(今までのようにTV-R7100JやTV-R7000Jが必須でなくなる)、多少のオバケがありながらもAR5000の帯域録音をするのには使えるかなという印象です。
受信動画を紹介しておきます。数日後に削除します。
SDR# SDR#10.7MHz固定 AR5000側でチューニング FM87.0(FMヨコハマ磯子)~94.6MHz(IBS茨城放送)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_ar5000move_fm870-946.mp4SDR# AR5000 87.4MHz固定 SDR#側でチューニング FM87.4(東京都府中市ラジオフチューズ)~94.7MHz
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_sdrmove_fm874-.mp4SDR# 76.4MHz 栃木RADIO BERRY受信 SDR#側で受信帯域を絞って76.5MHzの超強力な
InterFM横浜のサイド混信を避けているところ。アンテナは南向きでInterFM横浜に断然有利
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_ifmove_fm764.mp4SDR# SDR#10.7MHz固定 AR5000側でチューニング 中波1242kHz(ニッポン放送)~
途中で聞こえるのは実際の放送波とオバケが混じっている?
(この時はAR5000本体受信音との比較をしていなかった)
途中でSDR#側での受信帯域幅の調整あり
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_ar5000move_mw1242-.mp4SDR# AR5000 1242kHz固定 SDR#側でチューニング 中波1242(ニッポン放送)~1422kHz(ラジオ日本)
途中に波が沢山見え、音が出る所もあるがこれらはオバケ。
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_sdrmove_mw1242-1422.mp4SDR# SDR#10.7MHz固定 AR5000側でチューニング 短波9500~10000kHz(時報局)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_ar5000move_sw9500-10000.mp4SDR# AR5000 9500kHz固定 SDR#側でチューニング 短波9500~10000kHz(時報局)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_sdrmove_sw9500-10000.mp4HDSDR HDSDR10.7MHz固定 AR5000側でチューニング FM87.0(FMヨコハマ磯子)~94.6MHz(IBS茨城放送)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/hdsdr_ar5000move_fm870-946.mp4HDSDR AR5000 87.0MHz固定 HDSDR側でチューニング FM87.0(FMヨコハマ磯子)~79.5MHz(NACK5)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/hdsdr_sdrmove_fm870-.mp4HDSDR 76.4MHz 栃木RADIO BERRY受信 HDSDR側で受信帯域を絞って76.5MHzの超強力なInterFM横浜の
サイド混信を避けているところ。アンテナは南向きでInterFM横浜に断然有利
https://konsu.sakura.ne.jp/55/hdsdr_ifmove_fm764.mp4HDSDR HDSDR10.7MHz固定 AR5000側でチューニング 短波9500~10000kHz(時報局)
https://konsu.sakura.ne.jp/55/hdsdr_ar5000move_sw9500-10000.mp4HDSDR AR5000 9500kHz固定 HDSDR側でチューニング 短波9500~10130kHz
https://konsu.sakura.ne.jp/55/hdsdr_sdrmove_sw9500-.mp4以下の3つは「EXT-IF 1」と「EXT-IF 2」の違いを示した動画です。
SDR# 「EXT-IF 1」・10.7MHz固定 AR5000側でチューニング 1242(ニッポン放送)~1332kHz(東海ラジオ)
受信周波数の周囲に隣接局の波形が見えます。
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_IF1_ar5000move_mw1242-1332.mp4SDR# 「EXT-IF 2」・10.7MHz固定 AR5000側でチューニング 1242(ニッポン放送)~1332kHz(東海ラジオ)
受信周波数の周囲に隣接局の波形がありません。受信局が近づくと突然波形が現れます。
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_IF2_ar5000move_mw1242-1332.mp4SDR# 「EXT-IF 2」 AR5000 1242kHz固定 SDR#側でチューニング 1242kHz(ニッポン放送)~高い周波数へサーチ
1242kHzの周囲にチューニングしても何も受信できません。
https://konsu.sakura.ne.jp/55/sdr_IF2_sdrmove_mw1242-.mp4